柴田早理 写真展「On the beach

THE 2ND BANSHAN PHOTOGRAPHY AWARD
何伊宁 特別賞 YINING HE AWARD

2022年04月25日 – 05月08日 12:00-19:00 最終日17:00まで

浜辺には、しゃかい、せかいを構築するものが浮き上がり、打ち上がってくる。
おなじ形をした無機物が、海の中を無尽蔵に漂っている。
誰かに作られ、使われ、手を離れ、長い時間を旅し、傷だらけになった身体。
それらは波にもまれて粉のように小さくなって、他の有機物を介して私は咀嚼さえしている。
人の手はそのゴミを産み、そして拾う。
きれいな海というのは今は人工物に近いのだ。

一方で海岸に打ち上がるものには、不思議な神聖さが感じとれる。
色あせた身体と、かれらが辿ってきた途方も無いみちのり。
わたしはその現実を受け取り、受け入れなければならなかった。
現代を象徴する海洋ゴミたちを初めてみたように感じようとし、触り、纏い、交流を試みた。

柴田早理
自身のIT企業での経験を通し、資本主義や環境、ジェンダー、多文化共生といった社会問題に興味を持つようになった。 それを表現するためにオブジェを使った箱庭的撮影と共に、自らがスタイリングした人物の撮影を行っている。また他者への「ちがいと共感」に興味を持ちアンケートやインタビューを行いそこから発想した作品を制作している。立教大学映像身体学科卒業。