
嚴俊雄 写真展「見えない顔」
THE 2ND BANSHAN PHOTOGRAPHY AWARD
村越としや 特別賞 TOSHIYA MURAKOSHI AWARD
2022年06月07日 – 06月19日 12:00-19:00 最終日17:00まで
2021年5月、私は四川大学西中国病院精神病院に着任し、「心理学」をテーマにした学際的な長期写真プロジェクトを開始しました。 この作品は、患者さんが自分をどのように認識し、表現しているかに着目したプロジェクトの第2フェーズが始まった結果、生まれたものです。
前段階の病棟で患者さんを撮影する過程で、患者さんの内面という氷山の一角を見ることができ、その写真が医師たちの診断に使われる新しい「カルテ」となったのです。 自分の限られた知識や感覚を、写真という形で記録し、表現できるようになりたいと思うことが多くなりました。 同時に、精神医療センターの厳しい個人情報保護規制についても、仕事をする中で知ることができました。 患者さんの顔を撮影することは、プライバシー保護の観点から禁止されていますが、それでも目の前にいる生き生きとした人たちを撮りたいという気持ちがありました。
この問題を解決する方法を考えるにあたり、イタリアの作家イタロ・カルヴィーノが中編小説『Le città invisibili(見えない都市)』で、東方からの旅人マルコ・ポーロの視点から描いた55の都市を思い出した。 これらの「都市」は肉眼では見ることができないが、フィクションという文学的手法でその存在を感じさせてくれたのだ。
この小説をきっかけに、セルフポートレイトや人物写真を撮って患者を記録するようになりました。 プロジェクトでは、患者さんにマーカーとA4サイズの紙を渡して自分のイメージを描いてもらい、病室でその「ポートレート」を撮影し、最後にその2つのイメージを並列に並べました。 一方、自画像そのものは、心理的な知覚と表現のプロセスであり、これを通して患者は「見えない顔」を描き出すことができるのである。 一方、この「見えない顔」と本物の人体を並べることで、彼らの状態を知るきっかけになるかもしれません。
嚴俊雄
1998年四川省金陽市生まれ。現在、四川大学で油絵を専攻している。 現在、映像を核とした学際的なアートの実験に取り組んでいる。 作品「Seeds」が「Mi Beat 30×30 Youth Photography Award」を受賞。 作品「見えない顔」が「第2回半山・フォトアワード村越としや特別賞」を受賞。